AMED感染症創薬産学官連絡会

病原菌リスト

AMED感染症創薬産学官連絡会は、日本版PPL(Priority Pathogen List)第1版(2021年3月)を作成した。本PPLは、以下の調査※※を実施後、AMED感染症創薬産学官連絡会メンバーにて作成し、7学会・創薬促進検討委員会にて承認いただいたものであり、WHO版(2017年)とCDC版(2019年)とも比較しやすいよう併記して表示している。

AMR創薬研究で標的とする病原菌リスト(2021年版)

English ver.

病原菌
WHO(2017)
CDC(2019)
AMED感染症創薬
産学官連絡会
多剤耐性アシネトバクター Critical Urgent
(Carbapenem-R)
Priority1
多剤耐性緑膿菌 Critical Serious(MDR) Priority1
腸内細菌目細菌
Carbapenem-R
Critical Urgent
(Carbapenem-R)
Priority1
腸内細菌目細菌
Ceph-R(ESBL+)
Critical Serious Ceph-R
(ESBL+)
Priority1
薬剤耐性淋菌 High Urgent(drug-R) Priority1
結核(多剤耐性結核菌・超多剤耐性結核菌) Serious(drug-R) Priority1
非結核性抗酸菌 (NTM) Priority1
クロストリディオイデス・ディフィシル Urgent(drug-R) Priority2
バンコマイシン耐性腸球菌 High Serious(drug-R) Priority2
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 High Serious(MRSA) Priority2
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌 High Priority2
ペニシリン耐性肺炎球菌 Medium Serious(drug-R) Priority2
薬剤耐性マイコプラズマ・ジェニタリウム Watch list Priority2
カンジダ・アウリス Urgent Priority1
薬剤耐性カンジダ Serious(drug-R) Priority2
アゾール耐性アスペルギルス・フミガタス Watch list Priority2
薬剤耐性ヘリコバクター・ピロリ High Priority3
多剤耐性バクテロイデス・フラジリス  Priority3
薬剤耐性カンピロバクター High Serious(drug-R) Priority3
薬剤耐性サルモネラ High Serious(drug-R) Priority3
キノロン耐性赤痢菌 Medium Serious Priority3
βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌 (BLNAR) Medium
(ampicillin-R)
Priority3
薬剤耐性A群連鎖球菌 Concerning
(erythromycin-R)
Priority3
薬剤耐性B群連鎖球菌 Concerning
(clindamycin-R)
Priority3

 

Priority 1 国内外(※)において既存薬での対応が難しく、早期に新薬の創出が望まれている細菌・真菌感染症。
(※)厚生労働省、国立感染症研究所、外務省、WHO、CDCの公表資料より
Priority 2 国内外において現時点では既存薬の組み合わせなどで臨床的には対応できているが、近い将来新薬が望まれている細菌・真菌感染症。
Priority 3 上記以外で、将来の新薬の必要性に備え、継続した疫学情報の収集と新薬創出に向けた基礎研究が必要である細菌・真菌感染症。
なお、本リストに掲載されていないAMR創薬研究の標的となる病原菌は、現時点ではPriority 3 とする。

【特記事項】
AMR・感染症の領域は、常にブレークスルーが求められるので、新たな視点からのアプローチは上記Priorityに関係なく支援・推進していくこともAMR研究にとって必要と考える。


Priority に関して、日本版、WHO版、CDC版における関係性は以下の通りである。

WHO Critical High Medium  
CDC Urgent Serious Concerning Watch
連絡会 Priority 1 Priority 2 Priority 3  
記載なし      

※※ 国内外における感染症及び病原体に対する医薬品開発研究等に関する調査