コラム・インタビュー

Translational and Regulatory Sciences

コラム

慶應義塾大学薬学部創薬研究センターにおけるアカデミア発創薬研究・人材育成の取り組み

HP慶應義塾大学薬学部創薬研究センターは、多様性のある活発な人的・社会的交流によるオープン・イノベーションを通じて、人々の健康維持や疾患の治療・予防に繋がる研究成果を生み出すとともに、次世代を担う研究者を輩出する高度人材育成を行う場として2018年より本格稼働しました。現在、創薬メタボローム研究プロジェクト(iMeC)、プレシジョン・メディシン分子診断プロジェクト(PreMo)、抗体免疫先進研究プロジェクト(Primab)、マイクロバイオームプロジェクト(Microbiome)の4つのプロジェクトが立ち上がっており、学内教員・企業研究者・学生たちの新たな相互作用が生まれつつあります。

創薬研究センターでは、多様な知識・技術を持った学内外の教員・企業研究者に参画していただくことで、新規テーマ設定や情報授受、新たな研究アプローチの場を提供しています。また、学生たちが創薬研究センターでのさまざまな人的交流・研究経験を通じて、将来自らが新たな相互作用・イノベーションを生み出す人材に成長していけるような環境作りや研究活動・指導も行っています。以下に4つのプロジェクトについて概説します。

① 創薬メタボローム研究プロジェクト
Innovative Metabolomics Center for Drug Discovery; iMeC

創薬メタボローム研究プロジェクト(iMeC)は、最先端の質量分析技術を揃えたオープン・イノベーションの研究環境を整え、創薬シーズの探索・評価、新技術開発および人材育成の場とすることを目的としています。本プロジェクトでは、分析対象に応じて最適化されたメソッドを構築し、生体制御に関わる代謝ネットワークの解明、新しい生理活性物質や創薬標的の探索、医薬品の薬効や体内動態などのメカニズム解明など多岐にわたる病態・バイオロジー研究への応用を目指します。

②プレシジョン・メディシン分子診断プロジェクト
Project of Precision Medicine and Molecular Diagnostics; PreMo

プレシジョン・メディシン分子診断プロジェクト(PreMo)は、ゲノム医療に貢献するために、次世代シーケンサーをはじめとする分子診断システムの性能評価について薬学部教員が有する分析化学的技術や経験に基づき研究します。薬剤に関する知識を活かした分子診断の検査結果から投薬等の治療方針決定を行うプロセスについて内容を検討し、課題の抽出や支援方法の開発を目指します。

③ 抗体免疫先進研究プロジェクト
Progressive Research for Immunology and Antibody; Primab

抗体免疫先進研究プロジェクト(Primab)は、希少難治性疾患や慢性炎症疾患などに対するアンメッドメディカルニーズに応え、健康長寿社会の実現に貢献することを目的としています。新規抗体医薬の技術開発とシーズ探索を実施するとともに、創薬分野における優れた人材の育成を目指します。

④ マイクロバイオーム研究プロジェクト
Microbiome Drug Discovery Project; Microbiome

最も身近な共生体である腸内の細菌集団(腸内細菌叢)が生理機能や疾患に与える影響や、その作用メカニズム を明らかにすることを目的としています。多様な疾患モデル動物の活用、マルチオミックス解析により、創薬標的分子となる新規シーズを探索することとともに、創薬マインドを持つ人材育成を目指します。

今後は、現プロジェクトをより一層推進させるとともに、新たなプロジェクトの発掘も行い、これらの創薬研究を通して健康長寿社会の実現に貢献していきます。また、学生たちにさまざまな人的交流・研究経験の場を提供することにより、将来自らが新たな相互作用・イノベーションを生み出す人材に成長していけるように、環境作りや研究活動・指導に励んでいきます。

2021年11月

慶應義塾大学薬学部 創薬研究センター
教授 金 倫基

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