代表挨拶

キャタリストユニットは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development; AMED)の創薬戦略部(Department of Innovative Drug Discovery and Development; iD3)が本部機能を担う『オールジャパンでの医薬品創出』プロジェクトの一事業である「創薬支援推進事業-創薬シーズ実用化支援基盤事業-」内に整備された創薬支援推進ユニットの一つです。iD3では、創薬研究の推進に資する貴重な民間リソースやARO機能等を有機的に結びつけて、創薬支援ネットワーク機能を強化し、ひいてはオールジャパンでの医薬品創出の推進力を強化するために8つのユニットを立ち上げました。このなかでキャタリストユニットは各ユニット間の情報共有やアカデミア-産業界-行政を結ぶべく様々な情報発信、問題提示、論壇の場の提供などを行う広報部的役割を担当するユニットです。

医薬品、医療機器および再生医療用製品等の研究開発を推進するためには、様々な科学技術が必要です。また近年、抗体医薬や核酸医薬品などの新しい形態の医薬品やiPS細胞の社会実装の加速化に対応するために、医薬品や医療機器の承認申請に関わる規制も大きく変化しています。このような状況の中で、医療分野の研究開発をさらに発展させるためには、基礎研究の成果を医薬品や医療機器、再生医療用製品等としての実用化に結びつけるために必要な探索技術、および有効性や毒性等の評価のための科学技術を包含した「Translational Sciences」のより一層の発展が必須です。すなわち、Translational MedicineやTranslational Researchに繋がるBiomedical Sciencesをアカデミアから積極的に発掘していく事が大切です。一方で、これらの科学技術の発展にあわせて諸規制を最適化する「規制科学(Regulatory Sciences)」の振興も図らなくてはなりません。このためには厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency; PMDA)、そして製薬企業や医療工学関連企業など民間企業との連携が不可欠です。そして、世界中のTranslational SciencesとRegulatory Sciencesに取り組む研究者が一同にその研究成果を共有し、相互に刺激を与え合う場が必要です。先進諸国を俯瞰すると、米国ではNIH/NCATS(National Center for Advancing Translational Sciences)、ヨーロッパではEU/IMI(Innovative Medicines Initiative)が、まさに日本でのAMEDに相当する大型国家プロジェクトに取り組んでおり、彼らと調和していくことも必要でしょう。

キャタリストユニットでは、AMED事業の成果並びに欧米の当該領域における研究成果を世界に向けて発信する情報発信拠点となるために、東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻が事業実施機関となってAMED iD3と共同し、Translational SciencesとRegulatory Sciencesに関わる事業成果の掲載や両者の論壇の場を提供できる新たな国際学術雑誌「Translational and Regulatory Sciences」をe-Journalとして創刊することを目指します。また、国際シンポジウムの開催やホームページでの広報活動を通して、国内外における産学官の様々なユニットとの調和を進めていきたいと考えています。是非とも力をお貸し頂けますようよろしくお願いいたします。

2018年4月1日

堀 正敏
AMED iD3キャタリストユニット 代表
東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医薬理学研究室 教授

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